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週休3日制 そのアナウンスから読みとるべきこと(労働者編)

去る6月に閣議決定された「骨太の方針」で、選択的週休3日制という文言が盛り込まれました。

この週休3日制について「企業に導入を促し普及を図る」と記載されていますので、今後これを推進する施策が実施されていくと思われます。*「経済財政運営と改革の基本方針2021」資料No.3

さらに続けて資料を読みますと「メンバーシップ型からジョブ型の雇用形態への転換を図り・・・」とも記載されています。

何を言っているのかよく分かりませんね。

しかしなんだかヒントになりそうな文言で気になる部分です。

ザックリ言いますと、それぞれ以下の特徴があります。

【メンバーシップ型 】

・従来の日本型の雇用方式(新規一括採用など)
・企業が人を教育して育てる。人に仕事をあてはめるイメージ
・年功序列的な要素が未だ強い
・人の出入りは少ない傾向となる

【 ジョブ型 】

・欧米のドラマでよく見る感じの雇用方式。スキル・キャリアを重視して雇用
・企業で必要とされる仕事に即戦力となる人をあてはめるイメージ(自己研鑽がマスト)
・職務記述書に記載された契約内容に縛られる。
・人の出入りは多い傾向

*職務記述書とは、業務の目的・業務内容・業務範囲・業務に必要な能力・知識等を細かくまとめた書類のことです。

国際的に見た日本の労働生産性は、「日本生産性本部の労働生産性の国際比較2020」によると、OECD(経済協力 開発機構)加盟諸国の37カ国中26位なのだそうです。

政府が危機感を覚えるのは当然ですね。

この週休3日制についてですが、「国際競争力に勝てる人材の育成」が急務だとの考えも根底にありそうです。

要は、「国は、スキルアップや能力向上のための支援や機会の提供を行う。労働時間についても可処分時間が増えるよう政策においても推進します。どうぞ皆さん学び直し等して自分で稼げる人になってください!」といった感じなのではないでしょうか。

最近「45歳定年制」が話題になりましたが、これも近しい考えからくるものだと思われます。

炎上してしまいアレな感じになってしましまいたが、経営者としてイマドキの感覚から発されたものだと思います。賛同はしませんが理解はできます。

週休3日制についてネット上では、「給料が減る」、「結局労働時間は変わらない」、「密度高い労働を強要される」といった否定的な意見も多く見られます。

確かに我々専門家から見れば、残業時間を圧縮し結果的に総賃金を減額するといった方法も行えるわけで、本来の趣旨から逸脱する形でこれを採用する会社も現れそうです。一部の大企業では、労働時間を20%減らすけれど賃金はそのまま据え置きという制度に変更という企業も見受けられますが、これも現在希なケースだと思われます。

どうであれ、国はこういった方針で今後各種施策を打ち出してくるのでしょうから、これにうまく乗っからない手はありません。口は悪いですが、本当の意味での「自立」のためという観点からみて、大して役に立ちそうにないものが多い現在の公的な職業訓練も、今後はよりマシなもが増えてくるかも知れません。

今般の「テレワーク」から、こういった話は全く他人事に思える方も多いかも知れませんね。 

しかし、例えば現場職の方であれば、よりハードル高く社会的に要求も高いスキルの取得を考えられるのもいいですし、全く別業種の勉強をされてデュアルワークにチャレンジ等出来るチャンスの到来とも考えられなくもありません。

少し趣旨が違うかも知れませんが、関与企業様(建設業)のガテン系スタッフさんで、週末農家をされてレア野菜の栽培にチャレンジしてい方がおられます。 デュアルワーク の実現ですね。国の仕事創出の待望と個人の自己実現の欲求が見事にマッチした例だとも思います。

まだまだメンバーシップ型をとる企業が多い中、その会社で生涯頑張って働くという選択肢も当然ありますが、それにしても、会社にとってより価値ある人になるための努力が、より一層求められる時代になるのは間違いないような気がします。

ちなみに、弊所のご提案で、メンバーシップ型とジョブ型をミックスしたハイブリット型の人事制度を導入された企業様がありましたが、試行錯誤の期間は長くあったものの、結果その企業様にマッチングする賃金連動の人事制度を構築できた例もあります。

ここのところ「働き方」について様々な情報が入り乱れる状態にありますが、労使共に柔軟に対応できる準備はしておいた方が良いかもしれません。

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