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最低賃金引き上げ 【中小企業に与えるインパクト】

10月(予定)から、最低賃金が28円(3.1%)引き上げられることがほぼ決定しました。

このコロナ禍の中でありながらの決定はなかなかの衝撃です。

6月に決定された政府の骨太の方針で、「より早期に1.000円(全国平均)に引き上げる」と明言はされていましたが、これを達成しようという強い意思の表れでしょうか。

弊所は給与計算も受託しますが、調べて見ると最低賃金付近で雇用されるスタッフの比率が25%近く存在する事業所様もありました。

従業員100名程度の会社様なのですが、今後3年間に渡り毎年3%の最低賃金の引き上げがされるとなると、その3年後には(現在基準でみて)4割前後のスタッフがこれに抵触しそうだとの試算結果にもなります。

人事考課と給与を連動させていますので、この改定作業が大変なことは勿論のこと、人件費の増大が大きな問題となってきそうです。仮に全てのスタッフを3%の賃上げをした場合を考えますと、月間80万弱の増となりますので結構なものです。

しかし、中小企業がより覚悟しておくべきは、これ以外別のところにあると弊所は考えています。

政府の成長戦略会議のメンバーであるアトキンソンさんは、「安価な労働力に依存した経営モデルの転換を経営者に促す必要がある」と主張しています。さらに、最低賃金が先進国の中でも低水準に留まるなら「経営者が本来払うべき賃金を支払わず、生産性の低い企業の経営モデルを温存させてしまう」とまで言い切ります。

彼が政府の政策決定の影響力を彼がどれだけ持つか不明ですが(菅首相に近いとされる)少なくとも、中小企業の再編に向けた政策が今後実施される可能性があると思っておいた方が良さそうです。

では、中小企業はどのような準備をしておくべきか?ということですが、「淘汰を促すのではなくレベツアップを望む」とも彼は述べています。自身の著書では「イノベーションを起こせない多くの中小企業は、最新情報や技術に疎い傾向がある」と分析しています。

*個人的にアトキンソンの主張に共感できる部分は少ないですが、施策の決定に一定の影響力を持つ人物の意見は傾聴に値すると考えます。

例えば、我々士業を振返って見ますと、AIによる相談対応、手続業務のRPA化、HRテックによる労務管理など、続々と新しい技術が生み出されています。こういった情報に疎い事務所は、最新技術を導入ができないどころか、時流に合う価値を提供するための既存業務のアップデート化も難しいと思います。良くて現状維持、新規顧客の開拓は至難の業、やがて淘汰されていくことになるのでしょう。

中小企業の生産性向上(業務の効率化)についても各所で盛んにその必要性が説かれています。イノベーションとクロスするところも多いですね。

労働集約型産業についての生産性の向上には限界があるように思いますが、ホテルの自動チェックインシステム、コンビニのセルフレジ、飲食入店時の自動発券システムなど、目に見える取り組みも行われているところではあります。

上記は比較的規模の大きい事業所で実施される組織的な取り組みといえますが、中小零細企業でも生産性向上に繋がる業務改革を厳しい中で行っている事業所様も確かに存在します。

これも給与計算を受託している飲食店様なのですが、ある時期から月間のスタッフ総労働時間が極端に少なくなりました。人員整理は行っていません。

出勤簿の内容をよく見て見ますと、入店客の多そうな時間帯にシフトを集中させ、それ以外の人配を5割以下にといった感じです。伺ってみますと、曜日別の来客数を徹底的に分析し、ある時間帯についてはテイクアウトのみの営業になさったそうです。

この時間管理に留まらず、スタッフの適正、作業標準の見直し等も併せて行い、人事生産性は飛躍的に上がったとのことでした。

ただし、スタッフさんの労働機会を奪うという新たな問題が発生してしまいますので、スタッフの協力を得つつ、これを機にワークシェアに積極的な事業所というブランド戦略等も必要になってくると思います。

資力ない、人がいない、知恵がないだけで、国は事業を救ってはくれません。ただし支援はしようとはしています。(やり方と内容、そのボリュームは全く納得できませんが)。

助成金や補助金を見ますと、現在国が求める(支援の対象)事業所像といったものは読み取れたりします。

しなやかさと賢さが今後ますます求められる中小企業なのだと思います。

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