CASE STUDY

事例紹介

パワハラの発生(実は逆パワハラ?)

退職を間近に控えるBさんから、上長Cさんによるパワハラを受けたとの訴え。

Cさんから「さっさとやめろ」等の暴言を浴びせられ小突かれたとのこと。

これによってBさんは精神的なダメージを受け心的にも辛い状態になっているとのご主張。

生真面目でおとなしいCさんがパワハラを行うなどとはにわかには信じられない話であったが、本人から聞き取りを行うと確かにBさんが主張している行為を行ったようだ。

詳しく話しを聞くと、Cさんの言い分としては、それに至るまでBさんから数々の挑発行為があったとのことである。これを同じ部門のスタッフから聞いてみると、確かにその事実は日常的にあったらしい。

その内容は、「あんたはバカだからわからないだろが」とか「そんな○○足らずの上司に従えん」等の言葉から、Cさんの指示に対して「は?」という小馬鹿にしたような態度、さらには、他のスタッフの前で「計算もできない上司の下で働く俺らは不幸よね。子供もどうなの?」等とCさんを辱め、管理者としての尊厳を損なわせるような言動もあったらしい。

これをBさんに問いただすと、そのほぼ全てを否定し、仮にCさんがそう感じたとしても、暴言や暴力は肯定できるのですか?との反論を受けることになる。Bさんは、Cさんから受けた暴言を録音しており、小突かれた様子も収録されていた。Bさんは、この件について労基署に相談をしているとも言っている。

「パワハラによる会社都合の退職であるとハロワが認定を得る」、弊社はこの悪用をかねてから懸念していたが、今回のケースにつきBさんの言動からそれを疑わざるを得ず、適切な対応をしなければ会社に不利益を与えることになるとの危惧を持つことになる。

とりあえず、Cさんの行った行為は行為として、就業規則に基づき厳正な処分を行い、管理者から一般職への降格を行うことになった。併せて、謝罪の文章を作成させCさんに誠実に詫びるように指導。

一方Bさんは、退職の理由を「パワハラでの会社都合」にしてくださいとの申し出を再三会社に行っており、この申し出を拒むなら「出るところに出る」とまで言い出すに至る。しかし、会社としては、退職の意思表示を「自己都合」としてそれ以前に受けており、そもそも今回のパワハラに至る経緯として、Bさんにも帰責性がないとは言えないという会社としての見解を本人に伝える。

その帰責性の部分たるBさんのCさんに対する侮辱的な発言に等について、「周りのスタッフもBさんのそういった暴言を聞いていますよ」と、会社はBさんに対しても処分を辞さずという態度を表明する。

Bさんは、録音による証拠(自分に都合が悪い部分は編集)と精神的な苦痛を理由に訴訟をもチラつかせることから、念のため弁護士さんに今件の詳細をお伝えし、アドバイスを得た上で、毅然とした態度を会社はとり続けるというスタンスを継続することにした。

退職後、ハロワから弊所に連絡があり、本人の主張と会社の退職理由に齟齬があるのですが?との問い合わせ弊所にあった。これに対して、弊所は事実を過不足なくお伝えし、会社としては適切な対応をお取りした上での自己都合退職であるとの見解に変わりなしとの回答をすることになる。

後日、本人から元同僚に電話があり、どうやら会社都合としての退職とは認められなかったとのことが分かった。

【本ケースのポイント】

  • そもそもCさんがそういった逆パワハラまがいの被害を受けていた事実を把握できなかった会社の管理体制に問題あり
  • Cさんは、その事実を会社に伝えなかった理由として、管理者としての能力を疑われるが怖かったとのこと。同様に、他の管理者が、会社が知るべき未報告案件を抱えていないかの確認
  • 同じ部門のスタッフは以前からCさんがイジメ的な行為を受けているとの認識をしていたが、このことの報告が一切なされていなかった。社内秩序という概念が不足するスタッフには継続的な社内教育が必要である
  • 示す誠意には限界はあり、相手によっては事実に基づき淡々と、理詰めで、必要であれば法に基づき、その対応・対処が必要である

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